どうも、節約系ミニマリストのゆるいてんちょうです。
外国への輸出量減と外食の機会減による和牛消費量の低下に伴い、当初はお肉券を配ろう!という奇策が出されましたが、その後、「和牛の販売促進に500億円の予算を組む」ということで決着しました。なんという優遇!飲食店が閉店の憂き目にあっているというのに・・・・
私は実家が和牛繁殖農家であり、あと5年もすれば実家に戻ってそれを継ぎますので、今回の支援は大変ありがたく思っております。
ただ、畜産に詳しくないと知らないと思いますが、和牛農家はもうからないどころか、むしろ儲かるタイプの農業です。
和牛農家は儲かるタイプの農業
まず、実質、所得税と住民税が無税です。
正式名称は「肉用牛売却所得の課税特例措置」 と言いまして、1頭あたり100万円(交雑種80万円、乳用種50万円) 未満であれば、年間の売却頭数が1,500頭まで、所得税や住民税が免除されるという仕組みとなっています。
前振りとして、和牛農家には繁殖農家と肥育農家とがいます。繁殖農家は母牛に人工授精で子牛を産ませ、それを1年間育てて肥育農家に販売します。近年だとその時の値段がだいたい50万円~100万円くらいです。経費で半分くらいかかりますので、100万円で売れれば50万円の儲けです。
となると、年間22,23頭売れば1千万円の利益となります。20頭程度であれば一人で余裕で飼育できます。うちの実家はおやじ一人で細々とやっているのですが、年間それくらいの利益です。
1500頭まで無税なので、1千万円の利益にかかる税金は0円です。
1億円売り上げても無税です。
すごくないですか?
ということで、他にちょこちょこやっているサトウキビなどの売り上げからのみ税金を払っているので、年収300万円台の私より税金を払わないでよいのです。自営業なので経費も使えますので、畜産以外の儲けもかなり少なく見積もることができます。すばらしい。
利益率5%とかでがんばっている飲食業者を見ていると、もうしわけないくらいです。
なぜそこまで畜産業界を手厚く保護しているのかというと、鹿児島が生んだ戦後最大の政治家「山中貞則」氏の功績によるものが大きいです。
山中貞則と南九州(鹿児島宮崎)の畜産族
山中氏は税制のスペシャリストとして長年にわたり自民党税調に君臨し、「税調のドン」と呼ばれ、消費税導入時にも活躍しました。
古くは沖縄の日本復帰時には、選挙区でもない沖縄のために683本の特例法を通した人です。
背景には、鹿児島県出身者として薩摩藩の琉球支配への贖罪意識、また「米軍が沖縄に上陸していなければ、志布志湾に上陸し、鹿児島がひどい目に遭っていた」と、沖縄戦の犠牲に報いる意味もあったとのことですが、そのおかげで沖縄は混乱なく日本復帰を果たすことができました。そのため、沖縄県で唯一、名誉沖縄県民として表彰されているくらいです。
肉用牛に関する所得税の免税特例措置は、1967年にこの山中氏の尽力で臨時の特例として導入され、氏の税調会長就任後も何度か延長されて事実上の恒久措置となったのです。ほぼ山中氏のごり押しで気が付いたら恒久措置になっていたのですね。
この稀代の大政治家山中氏のすごいところは、世襲を良しとせず、自分の親族から後継者を出さなかったところです。
その代わりにその基盤を継いだのが、畜産の盛んな鹿屋市出身の森山 裕(もりやま ひろし、1945年4月8日 - )。
自由民主党所属の衆議院議員を6期をつとめ、現在、自民党国会対策委員長にいます。
そして、この森山氏が会長している外部の団体が、中央畜産会。
この団体の会長が日本の畜産業界のトップなので、畜産業界のトップが自民党の国対委員長をしているということです!これは心強い!
さらに、鹿児島県選出の参議院議員でJA農協出身の野村哲郎氏は、畜産族議員の大本の農林族議員を束ねる自民党農林部会長の職にある!(ちなみに野村氏の前は小泉進次郎氏だったけど、全然農林族に歯が立たなかった)
そしてダメ押しで、現在農林水産大臣をしている江藤拓大臣も南九州の宮崎県出身なのだ!やったぜ!
山中氏の流れをくむバリバリ畜産族のこの3人がそろったら、そりゃあああ何でも法案通るぜ!
畜産族議員最高!
ただね20年前の狂牛病問題の時は、畜産農家はめちゃくちゃな痛手を負ったので、そのトラウマがあってのことというのもありますよ。
とはいえ、畜産族すげえぜ。コロナで失職したら和牛農家に転職してみるのも良いのではないかな?2年くらい働いてやり方わかったら、JAと町役場に相談して超低利子でローン組んで独立することも可能だぜ。
独立怖い?畜産族をなめるな。
新規で畜産を始める人間への優遇政策は準備してある。70年代にはすでにな!
2020/04/15記事作成