今回は、イケハヤ尊師などに踊らされて、「背水の陣を敷いて、ネットで稼ぐことに集中する!」と勢いよく、大学や仕事をやめてしまうTwitter界隈の人たちについてのお話です。
どうも、節約系ミニマリストのゆるいてんちょうです。
最近ではさすがに減りましたが、1年ほど前まで「大学辞めてブログに専念!」とか、「仕事辞めてアフィリエイトで生きていく」という人達がいました。
そして、その人たちはそのような宣言の前に「背水の陣で~」という枕詞をつけがちでした。あえて、自分を死地に追いやり、逃げ場をなくすことでネットで稼ぐことに集中するということらしいです。
でも、背水の陣の語源となった戦いと、このツイッター民の背水の陣とは意味合いが変わる。
背水の陣の語源
井陘の戦い(せいけいのたたかい)とは、中国の楚漢戦争の中で漢軍と趙軍とが井陘(現在の河北省石家荘市井陘県)にて激突した戦い。
韓信と常山王張耳ら率いる漢軍が背水の陣という独創的な戦術を使って趙軍を打ち破った。
兵数が10倍以上違う状況を逆転するために、韓信がやった作戦の流れとしては、
①部下の傅寛、張蒼に命じて二千の兵を分け、これに漢の旗を持たせて、裏側から趙の本城を襲うように指示した。
②その上で、韓信軍は、河を背にして布陣し城壁を築いた。
③水を前にして山を背に陣を張るのが布陣の基本であり、これを見た趙軍は「韓信は兵法の初歩も知らない」と笑い、兵力差をもって一気に攻め滅ぼそうとほぼ全軍を率いて出撃、韓信軍に攻めかかった。
④韓信は初め迎撃に出て負けた振りをしてこれをおびき寄せ、河岸の陣にて趙軍を迎え撃った。
⑤趙の城に残っていた兵も、味方の優勢と殲滅の好機を見て、そのほとんどが攻勢に参加した。兵力では趙軍が圧倒的に上であったが、後に逃げ道のない漢の兵士たちは必死で戦ったので、趙軍は打ち破ることができなかった。
⑥趙軍は韓信軍、さらに河岸の陣ごとき容易に破れると思いきや、攻めあぐね被害も増えてきたので嫌気し、いったん城へ引くことにした。
⑦ところが城の近くまで戻ってみると、そこには大量の漢の旗が立っていた。城にはごくわずかな兵しか残っておらず、趙軍が韓信軍と戦っている隙に支隊が攻め落としたのである。
⑧大量にはためく漢の旗を見て趙兵たちは「漢の大軍に城が落とされている」と動揺して逃亡を始め、さらに韓信の本隊が後ろから攻めかかってきたので、挟撃の恐怖にかられた趙軍は総崩れとなり敗れた。
ということで、背水の陣を敷いたこと以上に大事なことは、
①部下と兵2千を裏側に伏兵として配置したこと
②そしてその伏兵を配置できた理由は、こまめに敵軍を探っていたから
ということです。
諜報活動もせず、伏兵も配置せず、ただ背水の陣を敷いたわけではないのです。
合わせて、同時期に生まれた似たような言葉で
破釜沈舟 糧(かて)を棄(す)て船(ふね)を沈(しず)む という言葉があります。
これは、《楚の項羽が鉅鹿 (きょろく) の戦いで、川を渡るのに使った船を沈め、釜を壊し、小屋を焼いてから戦い、秦の軍に大勝したことに由来する決死の覚悟で戦いに臨むたとえです。
この時の項羽は伏兵などを配置したわけではないですが、敵がそれほど強い軍ではない状況でしたし、なにより項羽軍が強いからできたことであり、普通の戦いで同じことをしても勝てるわけではないです。
ただむやみに背水の陣を敷きがち
Twitterでフリーランスとしてネットで稼ぐために大学や仕事を辞めるぞ~と騒いでいる人たちは、ただ背水の陣を敷いているだけなことが多いように見えます。
問題はイケハヤ尊師のようにそれをあおる人々ですが、彼らは仕事を辞めさせ、フリーランスの教科書だと言って、自分の教材を買わせて儲けたいだけなのです。
しかも、あおる人々は凡将ではなく、いわば項羽みたいな一人で突撃できる猛将なのです。つまり、非凡な彼らだからできたレアケースであり、また時期が良かったことによるラッキーもあるでしょう。でも、今から平凡な人間がそれを今から真似することは難しく、再現性がなさすぎるのです。
だから、仕事を辞めて背水の陣を敷くのは、別に良いけどさ、伏兵として配置できるような+‘@を持っていなければならないし、そうでないなら自ら突撃できる能力と、頭のおかしさが必要だぜ。
ということで、副業の基本に立ち戻ってだね、
①本業は継続してやりつつ、副業を始める
②副業での収入が本業を上回りつつあり、そこに専念したほうが稼げるという状況になる
この時に初めて仕事はやめればよいと思うのだよ。
大学に至っては、そんなもん副業しながらでも全然通えるだろ。やめることは無い。
そもそも仕事や大学を辞めたところで、1日16時間ネットで稼ぐために努力をし続けるわけではないだろう?
そこまでの根性があるなら、本業と並行して副業でも成果出せるだろうし。
背水の陣はむやみに敷くものでない。
2019/10/15記事作成