「しょぼい起業で生きていく」で、
起業のハードルの高さを著しく下げたことで有名な「えらいてんちょう」さんから、
しょぼイズムを受け継ぎ、大学卒業間際の2018年3月に開店した、「しょぼい喫茶店」の店長である「えもいてんちょう」さんが本を書いた。
その名もズバリ、「しょぼい喫茶店の本」である。
どんな本かと思い読んでみると、まさかのノンフィクション青春小説であった。
どうにも就職できなかったえもいてんちょう(以下えもてん)さんが、しょぼい喫茶店を通して成長をしていく様子を通して、どうにもどうやっても息苦しい現代社会へ、
こんな働き方や生き方もあるよというヒントを教えてくれる。
顔もシュッとしていて、上智大学卒アメリカ留学経験あり!という一見勝ち組としか思えない経歴を持ちながらも、就職活動に挫折しかけていたえもてんさん。
そんな時にしょぼい起業という方法に出会い、就職ではない生き方を模索していく。
しかし、どうにも開業資金が足りない。
なんとか助けて欲しい。
「100万円くらいだれかください」
恐る恐る書いた1つのツィートから、トントン拍子に出資話が決まり、助けてくれる人やのちに妻になる共同経営者のおりんさんも現れる。
雑誌やテレビでも取り上げてもらい、連日大盛況!
このまま何となく、てきとうでふわーと商売成り立ち続けるんじゃないかなと思っていたら、日に日に落ち込んでいく売り上げ。
そして、ついに一日だれ一人来店しない日が。
そこからが、本当のしょぼい喫茶店の話なのだ。
サクッと融資を受け、開店直後から有名になったところばかり、動画などでとりあげられているが、実は華やかな動画のあとの時期に大変な苦労が待っていたのだった。
生活費を稼ぐために、週一回他のバイトでもしようかと考える程に追い詰められていく。
しかし、
しょぼい喫茶店を始めるまでは、あんなにも弱かったえもてんさんとおりんさんが、時に周りの人々の協力も受けながら、困難に真っ向からぶつかり、乗り越えていく様は、涙無しには読むことは出来ない。
2018年1月に帝国データバンクが発表した「2017年の外食関連業者の倒産件数」は
707件。
前年に比べ26.9パーセント増となり、調査を開始した2000年と比べるとおよそ4.8倍という過去最高の倒産件数となったそうだ。
もし、その707件の経営者がこの本を数年前に手に取っていれば、もう少し違う結果になっていたかもしれない。
幸いにも、この「しょぼい喫茶店の本」が、世に出されたことで、特に若い多くの人たちにとって、これからの新しい働き方の指針となるだろう。
バラ色の話だけではない、トゲの部分も含まれている、本当に良い本だと思います。
以上
2019年4月18日記事作成