ちょうど、今日のような長雨の続くのある夜のことです。
その日は、残業で最終のバスに乗る時間に間に合わなかったので、ふだんはほとんど乗ることのないタクシーに乗りました。
そして、それが悲劇の始まりでした。
「お客さぁん、どちらまで?」
「〇〇までお願いします」
私はそれだけ伝えて、目を閉じました。到着まで少し寝たかったのです。
予定外の残業続きの1週間で本当にクタクタでした。
しかし、運転手は、
「私の声って誰かに似ていると思いませんか?」
と続けてきました。
「そういえば・・・福山雅治みたいな感じですね」
折しも、10数年続いた福山雅治のSUZUKI Talking F.M.というラジオ番組が終了して間もない時でした。
毎週そのラジオを聞いていた私は、うっかり福山雅治に似ていると言ってしまったのです。
それに気をよくした運転手による、ものまねワンマンショーは始まりました。
ベタ中のベタである、ひとつ屋根の下シリーズから、
「あんちゃ~ん」とか・・・・
似ているんですよ。まあまあ。
似ているんですけど、めちゃくちゃ似ているというわけではない。
65点くらいの物まねです。
65点なので、長いセリフを言わせると聞いていて恥ずかしくなるくらいのクオリティーなのです。全然面白くない。
それが延々と15分間、到着まで1対1の空間で続いたのです。
テレビとかでも、空気を読めずにつまらない発言をして、すべっている芸人を見ると、自分のことのように胸が痛みませんか?
それを1mの距離でやられたのです。
笑わないわけにはいきません。
しかも、連続でどんどんやってくれるならまだしも、一回ものまねするたびに、その出来の感想を求めてくるのです。くそみたいな出来なのに!
仕方がないのでほめると、気をよくしてさらに続くという悪循環。
それいでいて、ルームミラーごしにこちらを見ているようで、もっと奥の何か別のものを見ているようなうつろな目線。
「すみません、眠いので寝ていいですか?」などと発言したら、
すぐさま刺されそうな精神的なやばさをなんとなく感じたんです。
「あ・・・こいつやばいやつだ」と。
なので、最後まで相手しました。
サービスのつもりでものまねをしてくれているんでしょうけどね。
面白くもないものまねをずっと笑って聞かなければならないというのは、本当にしんどいのですよ。普段使わない筋肉を使いますね。
ずっと愛想笑いを続けていたせいで、顔の筋肉痛くなるくらいでした。
15分何とか耐え続けて自宅についたとき、最後に運転手は、
「今度ものまね番組に挑戦してみようと思うんです」と言っていました。
「あ~ぜひでてみてください。楽しみにしています。」と最後まで笑顔で対応して降りましたけど。
申し訳ないけど、50代半ばの長髪verの冬彦さんみたいな感じの陰気な人だったので、
本当に気味が悪かった。いい年してこんなにも空気読めんかねと思ったものです。
さて、なぜ急にこんな思い出話を書いたかというと、
昨日、ほかの店舗への手伝いに行ったときに残業になり、帰りが遅くなってタクシーを捕まえたのです。
そのタクシーの運転手が多分同じ人でした・・・
「お客さぁん、どちらまで?」と福山口調で聞いてきたので。
だからバッグを探って、
「すみません、財布忘れてしまって・・・降ります、すみません。」と言って、
急いで降りて歩いて帰りました。
いや~5年以上ものまねタクシー続けているんだな・・・妖怪か?
沖縄でタクシーに乗るときにはご用心。
はじめのあいさつ書き忘れていました。
どうも、節約系ミニマリストのゆるいてんちょうでした。
2019/06/23記事作成